エイジフレンドリー補助金とは
はじめに
前回あげた書籍『国運の分岐点』では、政策により各種補助金制度を打ち出すことは、日本の“労働生産性低い問題”に対しては「焼石に水」と評されていました。
しかし、ですよ。
貰えるものは貰いたい、と考えるのは人の常です。かの古畑任三郎のおばあちゃんの「もらえるものはミカンの皮でももらえ」というのは偉大な教えです(フィクションの世界ですが)。ご多分に漏れず、私も守っています。貧乏性だから、ね。
ん?もしあなたがkonmari教信者だとすれば、「ときめかないもの」はもらわない方がいいのかな?
…いやいや、返済不要な助成金・補助金にときめかない経営者がいるでしょうか、いませんね。
来年から新設されるらしい【エイジフレンドリー補助金】が少し気になったので、今日はそれを取り上げます。
エイジフレンドリー補助金とは
エイジフレンドリー補助金は(仮称)。現在は「高年齢労働者安全衛生対策補助金」の名目で予算の調整が行われている。
目的
高齢労働者の増加にともない、労働災害の被災者に占める割合も増加している。事故内容としては転倒、腰痛が増加傾向。そのため以下の支援、促進が主目的。
・高年齢労働者の安全・健康の確保のために努力する中小企業等の支援
・先進的な安全衛生対策技術等の普及促進
対象者
60歳以上の高年齢労働者を雇用する中小企業等の事業者
補助金の対象となる取り組み
〇高年齢労働者の特性に配慮した安全衛生教育に係る経費
〇高年齢労働者に優しい機械設備の導入等に関する経費
・自動ブレーキや踏み間違い防止装置付き車両の導入
・腰痛予防機器の導入等による腰痛予防
・熱中症防止ファン付き作業着の導入
・作業場内段差解消のための補修経費
・見やすい標識や警告灯の設置経費
・その他の先進的な安全衛生対策
〇健康確保のための取組(THP(トータルヘルスプロモーション)の取組含む)に関する経費
・高年齢労働者の体力低下について気づきを促す取組
・ウェアラブル端末を活用したバイタルデータの「見える化」
・トレーナーや施設・設備による筋肉量の維持向上
・食事による栄養確保の視点から歯科健診や歯科保健指導等
補助金額
補助率1/2(上限100万円)
詳細はもちろん要綱の公表をまたないと分かりませんが、補助金の性質から、機構(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)が申請受付先になる補助金でしょう。
自動ブレーキや踏み間違い防止装置付きの車両購入、熱中症予防のファン付き作業着の導入は高齢労働者に限らず、全従業員を対象とする労災防止や健康管理に役立ちそうです。
おわりに
このところ、在職老齢年金や高年齢雇用継続給付制度の見直しについてニュースに出てくる機会が増えました。
2025年には団塊の世代が75歳以上の“後期高齢者”となり国民の3人に1人が60歳以上、という超超高齢化社会を迎えますので、高齢者に係る社会給付と働きやすい労働環境との最適解を求めるべく、制度が急ピッチで整えられていく感です。
助成金・補助金は知らなかったり申請しなかったりするともらえない上、年度により使えるものや急になくなったりと改正の激しい、水物の情報です。社内リソースで情報収集や申請までこぎつけるのは、再現性が低く無駄な業務となりがちですので、社労士などの専門家の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
参考URL
令和元年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会資料(厚生労働省HPへのリンク)
※おまけに
「エイジフレンドリー」って、なかなかのネーミングセンスだと思います。今はまだ(仮称)ですが、そのまま使ってほしいです。これが直訳で「老人仲良し補助金」だったら、おそらく嫌煙されるでしょう 笑。
高齢であることをエイジ(本来はagedが適するのでしょうが)、職場への受け入れを促そうという機運のことをフレンドリー、と見事なジャパニーズイングリッシュをミックス、つまりトゥギャザーしています。オブラートへの包み方が秀逸!オブラートというより、言いにくい言葉を、甘くほわほわっと包みあげる技は、もはや和菓子職人の求肥(ぎゅうひ)のレベルかと。
我が家でも「クリーンフレンドリー補助金」とか新設してみようかな。(そうじ、片付け、もっとやってよ~!)