テレワーク導入に強い社会保険労務士「労務経営管理のぞみオフィス」

労務経営管理のぞみオフィス

【対応地域】埼玉県、東京都、千葉県、栃木県 (全国拡大予定)

0480-44-8014

電話受付時間 : 平日9:00~17:00 休業日:土日祝

メール対応は24時間受け付けております。

お問い合わせはこちら

副業(複業)・兼業者の労災給付額が増えるらしいが、正しい手続きはどうするのか

はじめに

厚生労働省が公表している「モデル就業規則」において2018年1月以降、副業・兼業を原則容認する記載に変わりました。副業に関する労務管理には課題事項が多く、副業容認のモデル就業規則公表以降も、労働政策審議会において有識者の議論が続いています。

参考記事:「副業・兼業」を許可するときに気を付けたい労務管理

参考記事では主に「労働時間管理」を取り上げています。
原則として、複数事業所で勤務する場合の労働時間は通算する。その際には他の事業所での労働時間を労働者から申告してもらう。法が求める正しい給与計算を行うのはかなり骨が折れそう。めっちゃ大変。そんな内容です。

そして今回は副業する場合の「労災保険」について取り上げます。

結論。労働時間管理と同様、正しい手続きをするのはめっちゃ大変そう。

労災保険について

そもそも労災保険とは何かを簡単にまとめます。

①対象者
⇒全労働者(※一部の農林水産業等を除く)
⇒「特別加入」制度に入っていると、会社経営者や個人事業主などが対象になることもある
②保険料は?
⇒全額会社負担。
③どんな時にどんな給付をもらえる?
⇒業務時間内および通勤時の事故による怪我や疾病、後遺症が残ったとき、死亡時など
④給付額は?
⇒怪我や後遺症、死亡時は遺族数などケースバイケースだが、労働者の平均賃金を元に計算される
話が相当脱線しますが「進撃の巨人」の世界において労災保険制度があった場合。

訓練兵団を卒業した翌日、調査兵団に志願しようと思った矢先に突然の超大型巨人襲来。壁を突き破られ居住区内に侵入する巨人。住民を守るべく巨人と相まみえたものの、なすすべなく巨人(奇行種)に喰われてしまった104期生のトーマスさん。(『進撃の巨人』単行本1巻収録)

この事例のように、
①業務遂行性(=兵士として巨人討伐しようとしていた)
②業務起因性(=巨人に襲われてしまった)
の2つの要因が認められる事実により、何らかの身体的損傷を受けた場合が労災保険の給付の対象と認定されます。

そしてこの場合(死亡事故)は

・遺族補償年金(労災様式12号)
・葬祭料(労災様式16号)

の請求をすることとなります。

蛇足を続けます。保険の請求には死亡診断書などを添付する必要がありますが、その証明に手こずりそうです。(喰われちゃったため、ご遺体の検体が困難を極めると思われ…)そしてトーマスさんの場合、訓練兵団で何らかの給金があった場合にはそれを元に平均賃金を算定し給付基礎日額を算出しますが、訓練兵団が単なる養成所で無給となると、どうやって給付基礎日額を算定するのだろうかという問題も出てきます。

また、死亡事故という重大災害ですので「労働者死傷病報告書(労災様式23号)」により遅滞なく労働基準監督署に報告することになります。労災様式23号は、社労士的には、会社にもっとも提出させたくない、でも出させざるを得ない手続きです。

ダブルワークをしている場合の労災給付

これまでは

本題に戻ります。

これまで、いわゆる会社員は一社に所属して仕事をするということがスタンダードでした。
さらに、労働災害の責任区分を明確にするために(会社は労働災害防止に向けて努力しなさいよ、ということ)、もし複数の会社で勤務する労働者が労働災害にあった場合は、災害の原因となった会社の責任においてその補償をするべきであり、災害の原因ではない会社に責任を求めるのは不適当であるというように考えられていました。

そこで通達においては、労災の原因となった会社で支払いを受けている給与『のみ』で平均賃金を算出し、労災給付の計算に用いていました。

さて、これだと何かと不都合が出てきそうですね。というわけで、この度に公表された方針の話に移ります。

このように変わりそうです

複数就業、労災対象に 兼業・副業促進に対応―厚労省(時事ドットコムニュース)

 厚生労働省は10日、労働政策審議会の部会に複数の職場で就業する人に対する労災給付の方針を示し、了承された。休業補償については、労働災害が起きた職場と他の職場の賃金を合算して金額を決め、実際の収入額に応じた給付が受けられるようにする。政府は労働者の兼業や副業を促進しており、働き方の多様化に合わせ、セーフティーネットを拡充する。
厚労省は来年の通常国会に関連法の改正案を提出し、来年度中の施行を目指す。
これまでは労災が起きた職場の賃金に基づき給付額を決定。このため、他の仕事を休むことになってもその分の賃金が反映されず、複数就業者に対する給付額は少なくなっていた。
給付計算の基礎がどちらか一方の会社の給与だけだと、労働者の本当の稼得能力と見合わないということがまず不都合ですね。政府としては副業を推進しているのに、これまでの考え方でいくと労働者保護の精神に欠けるというわけです。
そこで労災給付の計算においては、労災の原因となった会社の給与に加え、そうではない他の勤務先会社の給与も含めて計算するようになることが決定しました。

どのような手続きになるか

実務上、平均賃金(≒直前3ヶ月間の給与支払い明細)を記載するのは、休業補償給付および休業給付の様式です。(労災様式8号、16号の6)

給与の明細内容だけではなく、労働日数といった出勤状況も記入しますので、もしダブルワークをしている方が労災に合われた場合は、直前3~4ヶ月分の給与明細に加えて出勤簿・タイムカードなどを各社分準備することになりそうです。

憶測ですが、様式の中で「平均賃金算定内訳」を2社分以上併記する、または別添するんでしょうかね。

あの細かい様式に書ききれるのかな…。
内訳を記入するにしても、他社の支給明細の手当名称と金額だけで、支払い方が固定的なものと変動的なものとに判別つくかな…?正式なところは給与規定を見ないとわからないですが、他社の給与規定がやすやすと閲覧できるとは思えないし…。

ということで、詳細はもちろん正式に発表されないことにはわかりませんが、労働時間管理と同様、とても大変になりそうなイメージです。

どのように正しい手続きを進めるかは正式発表後、あらためて記事にしたいと思います。

長時間労働による脳・心臓疾患の労災認定について

リンク先の時事ドットコムの記事で取り上げているのは以上ですが、労働者保護の観点からは、給付額の計算方法に限らず、下記の点も審議されています。
副業をすることにより長時間労働が懸念されます。
単月100時間・複数月平均80時間の時間外労働という「過労死ライン」を行政通達レベルから法律に格上げしたのが2019年4月施行(中小企業は1年猶予)の改正労働基準法の目玉でした。【時間外労働の上限規制】というやつです。
労働災害認定の際、これまでは複数会社の勤務状況については目をつぶってきたけれど、労働時間を通算しないと労働者の本当の業務負荷がわからないのではないか。単独会社の勤務状況だけでは上限規制に引っかからないため、労働基準監督署で災害認定をする際にすり抜けられてしまう可能性が生じてしまいます。
そこで脳・心臓疾患及び精神障害の労災認定についても、複数の事業場における業務上の負荷を合わせて評価する取扱いをする方向に向かっています。

おわりに

働き方に多様性が出てくると、労務管理はどうしても煩雑になってしまいます。そうかといって、会社の都合で管理しやすいよう、働き方に多様性を認めずにいると、この時代では求人力のない会社となってしまいます。

会社で適正に労務管理をするのは限界がありますし、次々と行われる法改正に適切に対応するのは大変です。社会保険労務士など外部専門家にアウトソーシングし、働き方改革関連法の遵法や多様性ある働き方の推進をしていくのも一つの手段です。

 

弊所では、社会保険労務士兼セキュリティスペシャリストである代表がいつでも対応します。わかりやすい言葉で「法律ではこうですよ」に留まらない、会社に寄り添ったアドバイスを行っております。初回の相談は原則無料で承っておりますので、ご興味のある方はまずピンクのボタン(問い合わせフォーム)から、お気軽にお問合せくださいね!

 

無料相談してみる

Return Top