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読書録『国運の分岐点』:中小企業はどうなっていく

はじめに:なぜこの本を選んだか

『国運の分岐点 (副題)中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』
デービット・アトキンソン著 講談社

 

「中小企業不要論」が一部で盛り上がっている感じです。

生産年齢人口の減少により人手不足が深刻化し、後継者がいなくなる。中小企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)に追従する経営および人的資源が圧倒的に不足し、5G、IoT、AIといった新しい時代のシステムを導入できず、その結果運転資金を賄うだけの売上すら確保できなくなってしまう。

だいたいがそんな感じの論調で、今後、中小企業が淘汰されていく流れが加速する「大廃業時代」を迎えるであろう、と。

うーん、ネガティブだ。

この記事を書いているのは冬至の日で、たまたま日曜日ということもあり、今日は有馬記念やM-1グランプリが開催されています。年の瀬が押し迫り、2010年代がいよいよ終わっていく。今年は年号「平成」も終わりを迎えた。終わっていく。終わる。…冬は皮膚の感覚が鋭敏になって、ますますセンシティブになりがち。

そんなときに追い打ちをかけるように「中小企業不要論」なんてくら~いテーマの本を読むのはアレですが、知っておきたいなと思って。

私は社労士の中でも会社をお客様にしていますが、中小企業がなくなっていくということは、すなわちお客様がいなくなるということです。中小企業の経営方針がどんな方向に向かっても、素早く対応できるように心づもりをしておきたい、そう思ってこの本を選びました。

3行でわかる『国運の分岐点』

1)日本には中小企業が多すぎるために労働生産性が低い。効率的な経営が可能となる規模まで中小企業の統廃合を進めるべき。

2)賃金支払い能力のない中小企業の統廃合が進むので、最低賃金をあげていくことを提案。

3)中小企業保護政策をやめないと、社会保障費が賄えず財政が破綻する。中国の属国になるしかなくなってしまう。

所感

私は経済学についてまったく疎いので、アトキンソン氏の主張がどれほど合理的なのかを論じる力はありません。

立場上、最低賃金を上げていくことに対し中小企業の事業主がいつも不満を漏らしているのに付き合うことが多いので、なんとなしに「労働市場の流動性が低い状態のまま、民間企業にばかり賃金アップを負担してもらうのは不公平だ」とぼんやり思っていました。

アトキンソン氏によると、日本の労働生産性が低いという問題の本質は中小企業の数が多すぎることで、解雇規制の緩和は傍論である、と。解雇をしやすい環境を整えたり女性が活躍できる社会にするべく目標値を出したりするのは、対症療法に過ぎず、根本治療にはならない。それより、従業員の賃金を上げることによって、生活が破綻することなく社会保障費の負担に応じ、また個人消費を抑えないようにする策こそが本丸である。

そして中小企業の経営者が賃上げに反対するのは「自分たちの利益を守るため」の保身によるものだそうで、以下引用するように非常に辛らつな言葉が続きます。

 また、もっと厳しいことを言わせてもらうと、「賃金を上げれば会社が倒産する」という考え方をしている時点で、残念ながら経営者としての資質がありません。
(中略)
しかし、本来経営は「売り上げをいかに増やしていくのか」ということに尽きます。
賃金を引き上げたら倒産すると訴える経営者には、「成長」という視点がごっそり抜け落ちているのです。

『国運の分岐点』p178~

売上増加を放棄している経営者はいないと思いますので、いささか極論暴論な気がしますが…。

大切なのは「成長」を目指すためにどうすればよいかという観点で、自らの保身よりもっと大義のために振る舞うことができるのか、といった点だと受け取りました。日本の国益のために!、というと理想が大きすぎて着地点がわからなくなるので、例えば、会社の枠組みにとらわれずにもっとより良いサービスを顧客に届けるためにどうすればよいか、とか。従業員の今後の生活をより良くするため、とか。

アトキンソン氏の主張に準じ、成長するためのM&Aも一つの方法でしょう。あるいは、会社が一つなくなるということは働く社員にとっても関係取引先にとってもインパクトがあるので、“業務提携”といったもっと緩やかな形で中小企業がネットワーク化するのはどうでしょう。

(※本書のなかでは、踏み込んで具体的に統廃合を進める手段やその後の影響についてまでは触れていなかったので、その部分の提案が欲しかったです)

特にM&Aでは財務・税務状況や人事労務、IT部門のリスクを正しく評価する必要が生じます(=デューデリジェンス)。そこでは第三者の専門家による公正な分析・評価が担保されるべきでしょう。私自身も専門家として公正な分析・評価が行えるよう、より高い視座から企業経営を捉えられるように精進しつつ、今後の仕事にあたっていこうと感じています。

おわりに:当所で力になれること

中小企業ではテレワークの導入が進んでいると言えない状況です。導入にあたっては情報通信機器の新規購入、労務規程の整備などのハードルが高く、それに見合った成果が出るのか疑問視されているが故でしょう。

テレワーク制度を適正に整えることにより、副次的に労務管理やITレベルが向上することが期待され、(そして事実、会社の現状レベルに応じて「一歩進める」管理体制の提案をしています)、リスクを低減させたうえでM&Aや業務提携に臨むことが可能になると私は考えています。

今後、テレワークができるかどうかが中小企業の命運の分水嶺ともなる…というと大げさかもしれません。

しかし、「中小企業の大廃業時代」を迎える危惧がある時代の転換期にある現在、労務管理、情報管理を今まで通りのことを踏襲することが、本当に会社の、そして従業員のためになるのでしょうか。


もし少しでも疑問をもち相談相手がほしい、とお感じであれば、当所では社会保険労務士兼セキュリティスペシャリストの代表が相談にのります。原則として初回の相談に限り、無料で承っております。ピンクの「無料相談してみる」ボタンから、お気軽にご相談くださいね!

 

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