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生理休暇について考える

直截的なテーマ!

どストレートに、まさに今日私が生理痛とそれに伴う貧血に苦しんでおり。え?おばちゃんの生理日情報、いらない?はい、ごめんなさい。

いえ、でもこれ本当につらいんです。切実なんです。

痛みやつらさには個人差がありますが、私の場合は体中をおそう倦怠感や不安定な精神状態で、まともな思考能力が奪われます。…え?痛さ自慢もいらない?はい、不快な気持ちにさせて大変申し訳ございませんが、それでも話を続けさせていただきます。

鎮痛剤のおかげで何とか痛みは緩和できますが、イライラや不快感しかない。私の場合は貧血で頭がぼーーっとするのがもう嫌で嫌で。リゾット・ネエロのスタンド【メタリカ】の能力があれば足りない鉄分を自らの体内に採り入れ、少しはシャキーンとするのに…と毎月夢想するのが恒例です。鉄分欲しい。Give me Fe!でもレバー嫌い。

さあ、そんな感じに現在進行形で低回転をふかしている冴えない私の頭の中ですが、「女性社労士」として「生理休暇」について解説してみますね。

労働基準法で生理休暇が定められています

いまだに「労働基準法では生理休暇が定められています」と言うと「知らなかった!」という反応が返ってきますから、認知度が低いかもしれません。

第六十八条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

「生理日の就業が著しく困難な女性」
…単純に生理日だから、というのは理由としてだめで、「生理による苦痛で仕事どころじゃない!助けて!」という理由が必要ということです。
当の本人でないと仕事ができるかどうかが分からない、他人から客観的に判断できない、そもそも本当に生理なのか確かめるのが憚られるという点が、生理休暇に対するさまざまな問題を生み出しているのでしょう。

「休暇を請求したときは」
…休暇は有給でも無給でも、どちらの扱いにしてもよいこととなっています。そして請求してはじめて、休むことができるようになるため、請求がない限りは休暇を与える必要はありません。

条文としてはかなりシンプルで、分かりやすい内容です。

生理休暇に関する労務問題

これ以上ないくらいシンプルでわかりやすい条文ですが、さまざまな問題をはらんでいます。

①女性社員から生理休暇を切り出しにくく、休みにくい
②特定の社員が生理休暇を複数日取得し、社員の間に不公平感がある
③有給扱いにするべきか?

つらいのが本人にしか分からない、立証しづらいということは基準の不明確さがあるということで、結局「察してあげる」という周囲の善意にもとづくしかないということです。そして、周囲に善意を強要しなければならないことに対して委縮してしまう人も多い。

生理が女性特有の問題で、男性には理解しにくいという点も、妙な対立構造を生んでしまっています。「女はセイリだって言って休めるのは、ズルい」「男性が“女がズルい”と言うのであれば、代わりにこの痛みや苦しみ、経験してみればいい」とかいうの、不毛な争いだな~と思います。言ってもどうにもならないですからね、残念ながら『君の名は。』のような世界は、アニメや小説の中にしかありません。

男女雇用機会均等法についても思うのですが、女性の社会進出が目指されるのであれば、同じように男性の家庭進出も目指さなければいけなかった。それがなかったから、女性ばかりが仕事も家庭も育児も…とあれこれやらされて苦しむ羽目になっている。…と、これは完全に蛇足です。汗

変に男か女か一方を取り上げて権利を保障しようとするのは、フェアじゃないと思います。そういう意味で、この労働基準法68条は、いらないかなと個人的に感じています。社労士がそんなこと言うな?…そうかもしれませんね。

男も女も関係なく、また制度のあるなしにも関係なく、しんどい人には優しくしてあげられる社会であってほしいです。

私が「ありがたい」と思った制度

私が会社員時代に、ありがたいと思った制度があります。【出勤日と休日の振替を宣言できる制度】です。

詳細を書くと差し障りがあるので濁しますが、【出勤日と休日の振替を宣言できる】という文字通りの制度です。フレックスタイム制の亜種と位置付けるのがいいかもしれません。(※フレックスタイム制は一日の中で出勤時間・退勤時間を労働者に委ねるという制度であり、出勤日を労働者任せにするという制度ではありません)

参考記事:【2019年4月法改正:①】フレックスタイム制-1

この制度は、≪生産性をあげて仕事をするために効率よく時間を使えるよう、社員の自立性に任せる≫ことが趣旨でできた制度です。

【出勤日と休日の振替を宣言できる】というのは文字にすると簡単ですが、とても高度な制度です。どのような意味で高度かと言えば、会社側と社員側の双方の信頼がないと成り立たない制度だからです。会社は、社員が出勤日の代わりに休日に仕事をすることを認める必要があり、社員は任されている仕事を効率よく進める義務を負うことになります。

考察

この制度をきちんと設計すれば、生理休暇をめぐる問題が解決するかもしれません。

『生理休暇』として休みを取るのに対象者や理由を限定しないで、つらいときには休める。休んでもよし(ただし無給)。代わりに、休日を出勤日に振り替えてもよし。…こんな感じでいかがでしょうか?

(仮)名称でこの休暇制度を「生産性向上休暇」でも、あるいは「ワークライフバランス休暇」とでも名前をつけておきましょうか。せっかく休暇を新設するのですから、休暇制度の目的をわかりやすく社員に伝える必要があります。

①理由は特に問わないので、周囲に変な気を遣わせずに休暇取得ができるようになります。
②この休暇を取得するのが特定の社員に偏る可能性は残ります。制限なく利用されては堪らないので、制度設計において、「月に〇日まで」という上限は定めるべきでしょう。
③無給にした方が、社員のあいだでの不公平感がなくなると思います。ノーワーク・ノーペイの原則。

休日を出勤日に振り替えるかどうかは、会社の体制によりますね。休日における出勤を管理しきれないということであれば、許可しない。ただ無給の休暇をとってもらうのみ。

年次有給休暇の取得が進めばその方がいいのでしょうが、有給をとるのは気兼ねしてしまう人は多いものです。しかし誰しも、どうしても休みをとりたいと思うのっぴきならない事情は突然生じてくるものです。

A.「今日、欠勤させてください」
B.「今日休みたいですが、有給休暇にしてもらえますか?」
C.「今日、生産性向上休暇をとらせてもらえますか?」

当日に突然休みを取らなければならなくなったとき、上記A~Cのうち社員が言いやすいのはどれでしょう?会社側としても受け入れやすいのは、どれでしょう?社員本人も同僚も会社も気持ちよく休みをとれるような制度はどうあればよいでしょう?

それは会社の文化によるので、ベストな答えは各々異なるでしょう。

おわりに

これからは、多様な働き方を認められる会社でないと人材確保が難しくなっていくことが考えられます。
柔軟な働き方の一案として、生理休暇から発展し「無給の特別休暇制度」に拡大して提案してみましたが、いかがでしょうか。

無給の特別休暇制度が定着したら有給休暇取得を推進する、というように、段階的に働き方改革を目指すというのもありだと考えています。

 

休暇制度の見直しなどをお考えのときは、有効な就業規則の変更手続きについて専門家の意見をききながら進めましょう。
弊所は社会保険労務士事務所として「法律ではこうですよ」にとどまらない、お客様の立場にたったアドバイスを行います!

そうそう、貧血気味の私はヤバいので鉄分補給してしゃっきりしてから相談業務に臨みます!どうかご安心くださいね。

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