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【中小企業向け】本当に本当に無理がないテレワークの始め方

テレワークを始めるのは難しい?

開催までいよいよ1年を切った東京オリンピック2020。

その開催時期に合わせて、総務省、厚生労働省、経済産業省など関係省庁および東京都、関係団体では「テレワークデイズ」を開催し、テレワークの普及活動をおこなっています。この取り組みは2015年より始められ、本年開催している「テレワーク・デイズ2019」で5回目の開催ということになります。

テレワークね…わが社には関係ないかな?新しく機材やシステムを導入する予算もなければ、人員を割いて段取りする余裕もないし。第一、難しそう。

このように思われる経営者の方は多いと思います。いわゆる「IT音痴」の方であれば、なおのこと敬遠してしまうのではないでしょうか。

「難しそう」に感じる要因

「難しい」「自分に無関係」と感じるのは、無意識に「怖い」という感情をもっているからだと思います。

現状を維持するのは、人間の防御反応の一つです。未知のものごとや自分のわからないものに目をつぶり、理解不能な対象物そのものを存在しなかったものとして扱い平穏を保ちたくなるのは、人として当然のことです。

しかし、未知の世界に飛び込むことによってしか新しい知識を得たり世界を広げたりすることができないことも、私たちは十分に知っています。

では、何を恐れているのでしょう。次にあげる総務省の『平成29年通信利用動向調査報告書』には、何が怖い(=ビジネスでは「リスク」と呼びますね)と感じているのかのアンケート調査結果が掲載されています。

総務省『平成29年通信利用動向調査報告書(企業編)』p40より

調査結果によれば、導入にあたってのリスクは以下の点に集約されるのではないでしょうか。

  • 情報漏洩
  • 社内コミュニケーション不全
  • 導入に手間がかかる
  • 費用がかかる

無理なくはじめる4つのヒント

上記の調査結果で理由の1番目にあがる「テレワークに適した業務がないから」、あるいは4番目の「導入のメリットがわからない」。ふたを開けてみれば、テレワークに関して打つ手を何も考えていないからそのように回答せざるを得なかった、という企業も中にはある、と私は考えています。

本当に熟慮のうえで「テレワークに適した業務がない」と回答したのでしょうか?

時間がないから、課題解決を先延ばしにしているだけなのではないでしょうか?

 

次からは、私が考える【中小企業でも本当にテレワークを無理なくはじめる、はじめの一歩】を紹介します。

提案したヒントによって、「なんだ、そんなに簡単なことでいいのか」と気付いてくださる方(できれば経営者)がひとりでもいればと願ってやみません。気付くことによって、思考停止状態から抜け出し、次なる一手をどうするか、熟慮の段階へと進むことができるのではないでしょうか。

↓はじめの一歩menu↓

  1. 社長ひとりで勝手にテレワーク
  2. テレワークというか…内職?
  3. 困っているあの人をみんなで助けたいテレワーク
  4. 直行・直帰の拡大解釈

 

それでは、実際の運用について解説していきます。

1、社長ひとりで勝手にテレワーク

かなり乱暴であることを承知のうえで、この提案をします。

“社員のテレワーク”をどうするかという話をしているのに、なぜ社長?…いえいえ、中小企業が会社としてテレワークを始める第一歩に、社長ほど適した対象者はいないですよ。

 

即効性★★★★★(今日、この瞬間からでも導入できます)

 

手順は、いたってシンプル。

「会社としてテレワークをはじめてみようと考えている。まず、私自身がテレワークをやってみて、効果や問題点、課題などを見つけ出す」

と宣言するだけです。ほら、簡単。

「テレワークって、社長…。これまでだって、それほど会社に出社してなかったじゃないですか。また何を言い出すのか…」

と苦笑する社員の声が聞こえてきそうです(笑)

それでもいいのです。

大切なのは、会社として新しいことに取り組む意志があることを、社長ご自身の口で社員に伝えることなのですから。

注意点

「会社から離れておこなう業務の幅を広げる」ことにフォーカスします。

会社にかかってきた自分宛の電話をどうするか、打合せや会議をどうするか、紙の資料をどうするか…
実際にはじめると気付く点が多々あることでしょう。それらを一つ一つ解決することが、次なる一手につながります。会社という場所の制約を必要としない業務を広げ、それを社員の業務に展開できないか、考えていきます。

メリットとデメリットを評価する

テレワークの効果を測定します。メリットとデメリットを把握しないことには、導入するか見送るかの判断はできません。

テレワークを導入するかどうかは、間違いなく経営マターです。

その重要な判断をするためには、(きっかけは手軽なことでも)慎重にならないといけないでしょう。

社長自身がうまく業務が進められなかったときは、その原因を探っておくことが重要です。テレワークという働き方は合う人合わない人がいます。周りに人がいないと仕事をする気になれない、会社の外にいるとさぼっているように見られて気が引ける…など、その人の性格や感情の持ち方によって合う合わないが出てくるのです。

社長がうまくテレワークができない理由も、もしかすると単に社長がその「合わない人」だったからかもしれません。

それを踏まえ、自分ひとりで拙速に判断するのではなく、部下に意見を求め、社長がテレワークをしている間の社内の雰囲気など、現場からの声を吸い上げていきましょう。腹心の部下がいれば、その部下にテレワークを実行させ、評価してもらうことも手段のひとつです。

2、テレワークというか…内職?

テレワークという言葉の響きから、対象となる業務を、電子的な、頭に「e-」の接頭語がつくような業務を想像していませんか?e-mail、eコマース、e-GOV(社労士業務ではおなじみ)、eスポーツ(これは違うか)etc。

その思い込みを外しましょう、というのがここで紹介するヒントの勘所です。

 

会社の施設や設備を使わなければどうしてもできない業務って、なんでしょうか。製造業であれば機械工作によるライン作業、建設業であれば現場作業、飲食業などのサービス業であれば接客。確かにこれらの業務は、会社(や現場、店舗)でなければできません。

 

しかし、社員の勤務時間のうち、その業務に占められている時間はどのくらいでしょうか。

おそらく、会社での立場が上になればなるほど、現場業務のほかに「マネジメント」の業務が生じてくるでしょう。マネジメントにあたっては社員教育計画をおこなったり、人事評価をおこなったり、パソコンを利用して業務を進める場面があるのではないでしょうか。

あるいは、何かのプロジェクトを企画するときには準備作業があり、競合の状況や市場マーケティングをおこなったり、適切な外部委託業者を選んだりするのにwebサイトを閲覧する機会はあるのではないでしょうか。

 

専業でテレワーク業務をすると考えるから、そんな業務はない、難しい、で議論が進まない。

まる一日中そのような業務ではないにしても、2~3時間集中して行ったほうが効率的、という業務は探せばあると思います。言ってみれば「内職」のレベルで考えてみてはいかがでしょうか。

会社によっては、本当に「内職」的な、パソコンやスマートフォンなどとは全く無関係な、家内工業的作業もあるかもしれませんので、そういった業務もテレワークできますよね。

注意点

業務範囲と時間を決め、その時間を厳守してもらう

多くの内職がそうであるように、これはある意味、社員への“業務委託”となります。

テレワークの時間管理をどのような形で行うかを考えてみると、労働基準法では『裁量労働制』の適用をするのが一般的です。裁量労働制のなかでも事業場外みなし労働時間(労基法第38条の2)あるいは企画業務型裁量労働時間制(労基法第38条の4)といった労働時間制の適用が考えられます。

厳密な手順を踏むとすれば、上記条文にしたがい、就業時間および就業場所、また裁量労働時間制に関する制度を就業規則に定め、必要な労使協定を締結し…となります。

「就業規則を見直す」ことに拒否反応をしめす経営者の方は結構いらっしゃいます。なんといっても面倒ですからね。その気持ちはわかります。

しかし、試しにテレワークをはじめるのであれば、その必要はない、というのが私の考えです。

もっと簡単に、『在宅勤務の可能性をみてみたいので、試しに、●●の業務を、▲月▲日■時~■時、自宅でやってみて』と命じれば済みます。

“無理ゲー”をさせない

あらかじめ決めた時間を超えてなお業務完遂に時間がかかりそうなときに、①必ずその旨を表明してもらうこと、そして②「できない」と言ったからといって評価を下げることはしないこと、の2点を口酸っぱく社員に伝えます。

「これって“無理ゲー”じゃね?」

…そう社員に思わせてはだめです。

昔から、そして今も、社員の持ち帰り残業問題はあります。労働判例によれば、就業時間内に終了することが見こせない量の業務を命ずることは、たとえ直接的に残業命令をしなかった場合でも「黙示的に残業を命ずる」ことにあたる、と司法判断がされています。※footnote参照

ゲームでたとえれば、テレワーク業務と称してRPGやらせてはだめです。クリア時間までかかり過ぎますし、やりこみ要素がありすぎます。

マリオのSTAGE1クリアくらいにしてください。子クッパ一匹倒すくらいの。間違っても「たけしの挑戦状」みたいのは、もってのほかです、パワハラって言われちゃいますよ。笑

3、困っているあの人をみんなで助けたいテレワーク

この手法が一番、会社としても士気があがり、今後のテレワーク定着に向けて具体的に動きだすのかもしれません。

 

安定性 ★★★★★(社員への理解がされやすい)

 

「2、テレワークというか…内職?」の注意点で述べたように、最低限、業務範囲と就業時間をしっかりと定めることが肝要です。それは何も就業規則を変更せずとも、本人としっかり話し合い、書面としては雇用契約書一枚で済む件です。

いや、本当は就業規則などは実態に合わせて変更した方がいいに決まってますよ。

でもそれより大切なことは、紛争防止の観点、あるいはほかの社員への悪影響を避ける(士気・モチベーションを下げる)ことではないでしょうか。

雇用契約書で示される労働条件が就業規則のものより劣っていなければ、雇用契約書の労働条件が適用されます。本人としっかり話し合いをすれば、労働紛争が起こりようもありません。

また、この手法で取り上げるのは「困っているあの人をみんなで助けたい」という具体的な状況が決まっている場合のことです。そのような状況があれば、対象となる社員はもちろん、ほかの社員としても「何とか解決したい」とすでに気持ちのベクトルが定まっているので、「あの人だけ、ずるい」という足の引っ張り合いをする悪い感情は生まれにくいでしょう。

分かりやすい例をあげれば、

  • 出産/育児期の社員
  • 難病の治療や定期的な通院が必要になった社員
  • 家族の介護が必要になった社員
  • 配偶者が突然転勤を命じられた社員

というところでしょうか。このような事情はいつ、誰の身に降りかかるか分からないです。「困ったときはお互い様」の気持ちを自然ともてる、温かい職場環境を醸成していきたいですよね。

テレワークをはじめるためにクラウドサービスの利用を考えるのであればこちらの記事もどうぞ

【中小企業向け】クラウドサービスを安全につかう方法・チェックシートつき!

4、直行・直帰の拡大解釈

4つ目にあげる手法、これは手法でもなんでもないです。ごめんなさい。ただ、テレワークをどこからはじめるかのヒントとして、列挙してみました。

ここで私が言いたいのは、「テレワーク」という言葉がこれほどまで広がる前にも、営業職を中心に『直行・直帰』を認める会社はたくさんあるでしょう?ということです。

直行・直帰の日は、所定労働時間勤務したものとみなす扱いは、割とおなじみなのではないでしょうか。

「わざわざ会社に行ったり帰ったりする必要はない、そんな非効率なことはやめましょう」というのがその原点ですよね。ですから、非効率なことをやめようという意識づけがあれば、実は会社という場所に制約されなくても仕事ができることに気付けるのではないでしょうか。

おわりに~目的をもちましょう~

以上、無理なく始められるヒントでした。少しでも参考になれば幸いです。

きっかけは、どんなことでもよいと思います。

不便を解消するには、どのようにすればいいのだろう?思考停止せずに、「では次の打つ手は?」と考えていくことに、進化や発達があります。


最後に注意をひとつ。きっかけはどんなことでもよいのですが、ひとつ間違えてはいけないこと。

それは「目的を持つ」ことです。

目的なしにテレワークをはじめてしまうと、メリットやデメリットが客観的に評価できなくなったり、最悪の場合は「テレワーク導入が目的」と、手段が目的にすり替わってしまったりしてしまいます。

テレワークは、働き方のひとつの手段にすぎません。

導入することによって、どんな理想や未来を描いていくか。その目的を見失いさえしなければ、上手にPDCAサイクルを回していくことができるはずです。

こちらの記事もどうぞ テレワークで使える助成金・まとめ【2019年版】

 

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footnote/more information

テレワーク・デイズ2019についてのリンク

平成29年通信利用動向調査報告書(企業編)(総務省)

直接的な指示をしなかったものの、“黙示の命令”により残業命令をくだしたと判断された判例:東京地判平成11年7月13日【リンガラマ・エグゼクティブ・ラングェージ・サービス事件】ほか

「便利」という言葉は、麻薬だよ。→『王様達のヴァイキング(さだやす/深見真、小学館)』3巻p108より→セキスペの勉強の一環で読み始めました。面白いですよ~。

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